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賃貸マンションを建設することによる相続税対策のリスク

賃貸マンションを建設することによる相続税対策のリスク
著:金成明洋  更新

前回までのコラムで記載したとおり、借入をして賃貸マンションを建設することは、相続税対策としては非常に合理的な方法です。

しかし、何をするにも良い面があれば悪い面もあります。

賃貸マンションを建設する相続税対策には、次のようなリスクがあることをよく理解して実行することが大切です。

 

(1)空室対策の家賃保証は確実なものではない

(2)賃貸マンションを建設することで、土地の財産価値が下落する

(3)相続税が払えない可能性がある

 

(1)空室対策の家賃保証は確実なものではない

空室リスクの対策として、建築業者などは一括借り上げ(サブリース)をして家賃を保証することがあります。

20年や30年の契約する期間は、建築業者などが家賃を保証しましょうというものです。

一見、家主にとっては助かる契約のように見えます。

しかし、この契約期間の間、当初の家賃が必ず保証されているわけではありません。

必ず一定期間ごとに家賃の見直しを行うことが契約条項に入っています。

また、平成15年の最高裁判決において、不動産管理会社は契約期間中でも賃料の値下げを要求することができると示されています。

つまり、契約期間はあってないようなものとなり、いつ家賃の値下げ交渉があってもおかしくありません。

このようなことから、空室リスク対策のための家賃保証制度は確実なものではないことを十分に理解しておくことが必要です。

 

(2)賃貸マンションを建設することで、土地の財産が大きく下落する

相続税評価額1億円の土地は、時価にするとおよそ1億2500万円です。

土地の相続税評価額は、公示価格の80%程度に設定されているため、1億円を80%で割り戻せば概算の時価を

計算することができます。

この土地に、建築費1億円のマンションを建設したとき、この賃貸マンションの財産価値はどれくらいになるのか、が問題となります。

ここで問題となる「財産価値」は、第三者が購入する際に判断する「市場価値」であり、相続税を計算するときに使用する

相続税評価額のことを意味するものではありません。

賃貸物件を第三者が購入する際に、購入すべきかどうかの判断に用いるのは、期待収益率によることが一般的です。

この賃貸物件の収益が毎年800万円であるとき、第三者が10%の利益率を求めているときは、

この賃貸物件の価値は8000万円となります。

つまり、8000万円であればこの賃貸マンションに買い手がつくことになります。

時価1億2500万円の土地に、借金をして1億円のマンションを建設すると、8000万円で売却することができます。

もし、更地のままで土地を持っていれば、借金1億円を背負うことなく、1億2500万円で土地を売却することができます。

 

(3)相続税が払えない可能性がある

相続税は、現金で一括で払うことが原則です。

もし、相続税を現金で一括で払えない場合、延納か物納を選択することになります。

 

延納を選択した場合】

延納は、相続税を分割払いすることになります。分割払いですので、金利を付けて相続税を払うことになります。

相続税の延納期間は原則5年です。相続財産に係る不動産の割合によって延納期間を長く出来ますが、

一般的な場合は期間5年以内で利子税6.0%と高利貸し並みの利息になります。

賃貸マンションの借入金の返済もありますので、資金繰りが心配されるところです。

 

物納を選択した場合】

相続税を延納しても払えない場合、物で相続税を払うことが認められています。これを「物納」と言います。

物納をするには、物納することを申請し、物納をする財産は物納することが認められている財産に限られます。

基本的には、換金性があることが求められ、「抵当権の付いた不動産」は物納財産には認められません。

物納は、物納する財産の相続税評価額で国が引き取ってくれます。

つまり、更地のまま土地を持っていれば、1億円で国は土地を引き取ってくれます。

 

相続税の納税資金が不足する場合、賃貸マンションを建設するのではなくそのまま更地として土地を持つことで、

物納として相続税の支払いに充てた方が有利になる可能性もあります。

留意点としては、平成18年の税制改正により、物納をするための要件が厳格化されております。

どの様な不動産でも物納が可能な訳ではないので、物納予定地は生前に要件の整備が必要になります。

 

以上長期間「賃貸マンション建築は相続税対策として有効なのか」を検証してまいりました。

節税対策としては有効な一面もありますが、リスクもしっかりと検証したうえで実行しなくては失敗をする可能性も含まれております。

相続税対策として一般的に

 ①納税対策

 ②節税対策

 ③分割対策

の3つが重要とよく言われます。

節税対策のみフォーカスするのではなく全体像を把握しながら物事を進めて行かれることをお勧めいたします。

なお弊社顧問税理士による「相続税無料相談会」を随時開催しております。

来年から相続税改正(増税です)。ご心配な方はお気軽にお問合せ下さい。

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