民法改正によって変化する「瑕疵担保責任」:売主編 | 誠和不動産販売株式会社

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民法改正によって変化する「瑕疵担保責任」:売主編

民法改正によって変化する「瑕疵担保責任」:売主編
著:誠和不動産販売  2018年5月更新


「契約不適合責任」制度が導入され、従来の瑕疵担保責任と比較してより買主の保護が図られることとなった2020年の民法改正施行に向けて、不動産売買における売主の立場においてはどのようなことに注意が必要なのでしょうか。

前回お話しした通り、今後不動産の売買契約においては瑕疵担保に変わって契約不適合責任という概念で紛争解決が図られていくこととなりました。
これまでは、仮に(売主も知らない)雨漏りがある住宅を売買したとしても、瑕疵担保責任を免責とする特約があれば買主はその責任を追及することが出来ませんでした。また、「売主が知らなかったこと」を買主が立証しなければならず、これが非常に難しいためにしばしば紛争に発展するケースが多く、今日の不動産取引における既存住宅の流通性が低調な理由のひとつにも挙げられます。

今回改正された「契約不適合責任」は、取引の目的物が契約内容に沿ったものであることを求めるものとなります。
“雨漏りがあった / 無かった”を争点とするのではなく、雨漏りがあることが「住宅」という目的に即しているか、当事者の主観的な要素が重視されることになります。

住宅は平穏無事に過ごすためのものです。
既存住宅を購入する買主にとって、住宅の状態は把握しづらく、購入後の欠陥発覚や補修のリスクが常に付きまといます。
今回の改正によって買主の立場がより保護されることとなりますが、売主の立場ではどのような対応が必要になるでしょうか。

まず第一に、自身の不動産の状況を積極的に公開していく必要があります。
不動産の購入は、多くの買主にとって一生に何度も経験することのない大きな買い物となります。
一番の心配事は「状態がわからない」ことなのです。

また、それは売主にとっても同じことが言えます。
住宅は一見すると普通に見えても、壁の中や基礎の状態は簡単に判断の付くものではありません。だからこそ、2018年4月より宅建業者に説明義務が課された「建物状況調査」は売主にとっては非常に有益な制度と言えるでしょう。

建物状況調査は専門のインスペクターによって行われるために、住宅の状態を明らかにすることに役立ち、調査において見つかった問題個所は修繕することによって物件の状態を適正に保つことに繋がります。また、建物状況調査の結果を以って既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば、将来何らかの欠陥が発覚したとしても売主は債務不履行責任を負わずに済むようになります。

今、不動産市場は転換期にあります。
人口減少と都市への一極集中の流れの中で、国は新築住宅中心の市場から既存住宅の価値を高めて循環流通するモデルへの転換を図っています。建物状況調査も既存住宅売買瑕疵保険も、既存住宅の品質を上げて売主も買主も安心して取引できる市場環境の整備を目的に導入されました。既存住宅の取引において不動産の状況を詳らかにすることは決して後ろめたいことではなく、むしろ買主が抱く「わからないこと」への不安を払拭出来る上に、他物件との差別化に繋がる判断材料を提示することによって購入へ向けての決断の大きなメリットとなることでしょう。

今回の改正は一見すると買主の保護が強く図られた内容にも映りますが、本来売主と買主の立場は対等であり、両者は契約の履行において等しく債務を負うべきものです。
むしろ、今日までの不動産取引においては売主の立場は過剰に強く図られていたとも捉えられ、昨今の消費者保護の潮流にようやく法整備が追いついてきたと言えるでしょう。

数量の不足や目的物の欠陥といった「瑕疵」の紛争は、売買の当事者間における契約への「適合性」を問うものへと変化し、一般的な債務履行の俎上に上ることとなりました。
しかしながらそれは、売主が本来負うべきであった「債務の履行」を適正に負うこと以外の何物でもなく、不動産売買においてはむしろ売主の保護にも繋がる建物状況調査や既存住宅売買瑕疵保険も導入されているため、これらを積極的に活用していくことが今後の不動産取引において肝要ではないかと考えます。

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