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民法改正「配偶者居住権」創設

民法改正「配偶者居住権」創設
著:金成明洋  2018年5月更新

平成30年3月開催の通常国会に民法相続制度の改正案が提出されました。

いくつかの重要な項目が含まれていますが、特に注目すべきは「配偶者居住権制度」です。

 

1.配偶者居住権制度

 

相続発生後に、配偶者がそれまで居住していた被相続人の相続財産である建物に引き続き居住することが出来るよう「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」が創設されます。

 

「配偶者短期居住権」とは、配偶者が相続財産である建物に相続開始のとき無償で居住していた場合は、遺産分割によりその居住建物の帰属が確定した日又は相続開始のときから6ヶ月を経過する日の何れか遅い日まで、居住建物を無償で使用することができる権利を言います。配偶者短期居住権は譲渡することが出来ず、また他の全ての相続人の承諾を得ない限り第三者に使用させることは出来ません。存続期間の満了前でも、配偶者が死亡したとき又は配偶者が配偶者居住権を取得したときは消滅します。

 

「配偶者居住権」とは、配偶者が相続財産である建物に相続開始のとき居住していた場合で、次の(ア)~(ウ)の何れかに該当するときに、その居住建物を無償で使用及び収益をする権利を言います。但し、被相続人が相続開始時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にはこの限りではありません。

 

 (ア) 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき

 (イ) 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき

 (ウ) 被相続人と配偶者との間に、配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があるとき

 

2.配偶者居住権制度の具体的なメリット

 

上記のような配偶者居住権を認めることによって、遺産分割における配偶者の相続分をより多くする結果を得られることができます。

 

例えば、相続人が被相続人の配偶者と子の2人で、相続財産として現金3,000万円、居住用不動産2,000万円(配偶者が被相続人の生前同居)があるという場合には、法定相続分は配偶者と子がそれぞれ2分の1ずつ相続することになり、配偶者の相続分:2,500万円・子の相続分:2,500万円となります。

 

この状況で、もし配偶者が居住用不動産の所有権を取得することを選択した場合には、配偶者の相続分2,500万円のうち、2,000万円を居住用不動産が占めることになり、相続できる現金は残りの500万円のみということになります。これでは居住用不動産を取得出来るとはいっても配偶者の老後の生活に著しい不安が生じることが予測されます。上記のような状況で、今回の改正により配偶者居住権という権利の成立が認められるとするとどうなるでしょうか。

 

例えば、配偶者居住権が居住用不動産よりも低い金額の価値は認められるとした場合、配偶者は住宅にそのまま住み続けることができるとともに、現金についての相続分を増やすことができます。結果として、住宅に住み続けるという配偶者側のニーズを満たしつつ、老後の生活費を確保するというニーズも満たす形を選択できることになります。

 

まとめ

 

今回の民法改正は、何十年も亡くなった方と一緒に居住していた配偶者が、他の相続人に対して住居を明け渡さなければいけないリスクを軽減することができます。

 

施行時期はおそらく2019年と思われますが、今後も注視していきたい良い制度かと思われます。

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