マンションの専有部分は何処まで? | 誠和不動産販売株式会社

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マンションの専有部分は何処まで?

マンションの専有部分は何処まで?
著:誠和不動産販売  2021年11月更新


マンション。

一口に『マンション』と言っても、その形態は様々です。
技術の粋を誇示する超高層タワーマンション。
広大な敷地がさながら都市のような外観を呈するシティレジデンス。
最近では駅直結の複合型も増えてきていて、マンションの質の向上に伴い多様性も増してきています。

『マンション』と聞くと、一般的には『共同住宅』のイメージを持つと思います。
その面では、賃貸に供される比較的大規模・堅固な共同住宅も『マンション』と呼称されることがあります。
なお、語源となった英語の『Mansion』には共同住宅を意味するニュアンスは含まれておらず、『豪邸』を現す単語とされています。

我が国においては、昭和30年代に高級志向の共同住宅を『マンション』と銘打って宣伝したことが始まりだと言われています。和製英語のひとつというわけです。
英語圏における日本の『マンション』と近い言葉は『コンドミニアム』が該当します。



 区分所有法の規定 

意外に思われるかもしれませんが、『マンション』という単語は長らく法令用語とはされていませんでした。
上述の通り、高級志向の共同住宅を所有する概念が持ち込まれたマンション草創期、昭和37年に『建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)』が制定されます。この時は『区分所有建物』と表現されていました。まだ『マンション』が一般的な言葉では無かった時代のことです。

時代を経るにつれて、住まいの形態としてのマンションは存在感を増していきます。
マンションが一般的な住宅として広まった昭和40年~50年代、その質を向上させてきた昭和60年~平成初期、そして多様性を広げた平成中期以降。
こうした変化を受けて、平成13年に施行された『マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)』に於いて、『マンション』は法令用語とされました。

さて、法律上は『マンション』はどう定義されているでしょうか。

マンションとは『二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものをいう。』、つまりマンションと定義されるためには『住居が1戸以上有り、区分所有者が2人以上いる』必要があります。

一般的に呼称される賃貸マンションであっても、専有部分が区分登記されておらず所有者(貸主)が1人であるものは『マンション』とは定義されません。
これは、その全てが店舗・事務所である建物であっても同様です。



『マンション』は、我が国において(少なくとも昭和後期までは)大多数を占めていた『一戸建て』とは、その権利形態が大きく異なることが一番の特色です。

一戸建てにおいては、土地の所有権も建物の所有権も単一のものです。(共有の場合でも、単一の権利を細分化して所有していることになる)

マンション、正確には区分所有建物は、

① 区分所有部分(専有部分)に、それぞれ所有権が存在する
② 建物の敷地(土地)の所有権は『敷地権』として、区分所有者で共有する  ※ 敷地権化されていない共有のケースもあります。

このように、土地の権利と建物の権利が区別されています。
※ なお本稿においては、借地権や地上権等の敷地権に関する言及は省略しています。

この『区分所有部分(専有部)』とは、一体何処までの範囲を指すのか?
今回の主題、『マンションの専有部分』について紐解いてみようと思います。



 専有部分の範囲 

まず、区分所有法において『専有部分』は次のように定義されています。

 専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう 

その『部分』は壁や天井・床などによって構造上他と独立していること、そして独立して住居・店舗等の用途に供されているものとされています。

意外に思われるかもしれませんが、区分所有法における専有部分に関する言及はたったこれだけでおしまいです。
区分所有法は、一棟の建物を複数の共有状態に置くにあたり、その共有関係を定義することに重きを置かれており、従って専有部分について読み解くためには、国土交通省の策定された『マンション標準管理規約』に目を向ける必要があります。前述の通り区分所有法には専有部分についての言及が少なく、また専有部分と共有部分の境界についても明確な規定がありません。


他方、『マンション標準管理規約』においては、専有部分は

● 構造上の独立性がある(壁・床・天井等により他と明確に区分されている)
● 利用上の独立性がある(独立して住居・店舗等の利用に供されていて、直接又は共用部分を通じて外部と行き来できる)

上記を満たした建物の部分であり、壁や床・天井のうち躯体部分を含まない部分とされています。
隣接住戸との界壁はそれ自体は専有部分とはされず、界壁上の壁紙等から専有部分に当たる、というわけです。(床のフローリング等も同様)

また、『窓ガラス(窓枠を含む)』も専有部分とはされていません。もちろん、『網戸』も専有部分には含まれません。窓ガラスや窓枠は、マンションの外観に大きな影響を与えます。窓を専有部分としてしまうと、それぞれの区分所有者の思い思いのままに改修されてしまうかもしれません。また、各窓に掲示物を張り出すことも出来てしまいます。
その結果として美観に悪影響を及ぼしてしまわないよう、これらは共用部分とされています。

同じ理由で『玄関扉』も共用部分です。
玄関扉に関しては、『内側の塗装部分』と『錠(鍵のシリンダー)』は専有部分とされていて、鍵の交換や内側の塗装は任意に行うことができます。※但しマンションによっては錠の変更に一定の制限を付していることもある。

目に見えない部分ながら、配線や配管も『共用部分にある部分以外』は専有部分とされます。
わかりやすく言うと、パイプスペースや廊下等にある本管は共用部分、そこから分岐して専有部分へ枝分かれした管は専有部分となります。これに限った話ではありませんが、区分所有法では共用部分は明確に定めてあるものの、専有部分についてはその範囲が明確にされておらず、『共用部分以外の~』この表現を多々見かけます。紛らわしいですね。



 マンションの登記簿面積はなぜ内法で計測されるか 

建物の面積を表すときに用いられる計測方法は、『壁芯面積』と『内法面積』の2つがあることはよく知られています。
紛らわしいと思いませんか?同じ建物(部屋)の面積が、何故2つ存在するのでしょうか。

 建築基準法 

建築基準法においては、建物の面積は『外壁・柱の中心線で囲まれた部分』が建物の面積とされています。
これは一戸建て/マンションのどちらも一緒です。壁の中心線(≒芯)で計測することから、壁芯面積と呼ばれます。

 不動産登記法 

一方で、不動産の登記について定めた不動産登記法規則第115条では、区分建物(マンション)は『壁その他の区画線の内側部分』で面積を測るものとされています。これが内法面積です。
※ 区分建物以外にあっては、壁芯面積で計測するものとされている。

区分所有法においては、マンションの界壁は躯体であり、躯体は共用部分とされています。
仮に壁芯面積が所有権の範囲と同義となってしまうと、躯体である界壁がそれぞれの建物に属することになってしまうわけです。

マンションの専有部分、意外と狭いと思われるかもしれません。
大前提として、マンションが共同住宅である以上は『はじめに共用部分ありき』であり、その実所有権の対象となる専有部分は、『それ以外』に必然的に残された部分ということになるわけです。


 

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