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「みなし贈与」には注意が必要!

「みなし贈与」には注意が必要!
著:金成明洋  2018年10月更新

自分が生きているうちに自分の財産を処分して、相続人になる配偶者や子どもに迷惑がかからないようにしようと考える人も多くなってきています。ここでいう処分とは、不動産を売却して現金にしたり、その現金を配偶者や子どもに分け与えたりすることです。


このような行為を専門用語では「生前対策」や「生前贈与」といい、財産の金額によっては、受け取った側が「贈与税」という税金を納めることになります。また、贈与ではなく金銭のやり取りがある場合でも、市場価格より安く譲るなどすると「みなし贈与」として贈与税がかかることがあるので注意が必要です。

 

そこで今回は、相続税の生前対策(生前贈与)で気をつけるべき「みなし贈与」の具体的なケースをご紹介いたします。

 

 1. 贈与税とは? 

 

まずは、基本的な贈与税の説明をいたします。

 

贈与は、あげる人(贈与者)が財産を渡したときではなく、もらう人(受贈者)が受け取る意思を示したときに成立します。
そして、現金や不動産、宝石や貴金属などの財産をもらった人は「贈与税」という税金を納めることになります。

 

しかし、ちょっとしたお小遣いや援助の度に税金がかかってしまっては、人々が生活しづらくなりますし、税務署の処理も大変です。
そこで、1年間に110万円の基礎控除を設けて、それを超えなければ贈与税はかからないという仕組みになっています。

 

なお、仕送りなどの生活費はそもそも贈与税の対象になりません(非課税)。
また、その他にも条件に当てはまれば、110万円以上でも非課税になる特例などもあります。

 

 2. 「みなし贈与」とは? 

 

ここまでの説明で、「贈与ではなく売買契約にすれば、贈与税がかからないのでは?」と考える人もいるかもしれません。
たとえば、「本当はタダであげたいけれど、贈与税を回避するために、1,000万円の土地を100万円で売る」というような場合です。
しかし、残念ながらこのケースだと、「みなし贈与」として贈与税が課税される可能性が高くなります。

 

みなし贈与とは、“一般的な価格との差額分を贈与したとみなして税金をかけますよ”という制度です。
上記の例でいえば、差額の900万円がみなし贈与の対象となります。

 

なお、故意ではない場合も同様です。
「他の人がやっても税務署から指摘されなかった」、「昔に実施したけれど税務署から連絡が来なかった」などの理由で放っておくと、税務調査がはいったときに追徴課税の対象となるかもしれません。追徴課税とは、本来の贈与税にプラスして、加算税や延滞税などのペナルティが課されることをいいます。

 

 3. 「みなし贈与」と判断される基準 

 

「みなし贈与」の判断基準は、“社会通念上著しく低い価格”で取引することで、実質的に贈与となっていることや、相手に経済的利益が生じるような場合を指します。

明確な基準が法律で定められているわけではなく、個別に判断されることが原則です。

“著しく低い価格” としての目安は、土地取引の場合であれば、「時価の80%未満の価格」を指すと判断されています。(東京地方裁判所の平成19年8月23日判決)

 

 4. 「みなし贈与」の制度は何故できたか 

 

そもそも贈与税は、相続税逃れを防ぐために作られた制度というのはご存じでしょうか。

 

相続税は、財産額が高ければ高いほど多くなります。そのため、財産が多くある富裕層は、相続税が多額にならないように生前贈与をして、相続税を納めずに済むように対策したいと考えます。しかし、相続税は、「富の再分配」という観点から、課せられた税金です。ゆえに、相続税を納めることから逃れるために生前贈与をすることを防止する目的で、贈与税ができたのです。

 

このようなことから、贈与税は相続税よりも高い税率が設定されています。
そして、この贈与税から逃れるために、低価格で売買するという行為がされるようになったため、みなし贈与という制度ができました。
 

 5. 生前贈与で注意すべき「みなし贈与」のケース 

 

  不動産の譲渡 

 

 土地などの不動産の売買において、「時価の80%未満」で取引している場合は、「みなし贈与」に該当すると判断されており、現在の実務の基準となっています。

 そして、実際に経済的利益になった部分が、贈与税の対象となります。つまり、身内に安く土地を譲りたいが贈与税は回避したいということであれば、時価の80%以上の価格にすればよいわけです。

 また、親が建てた家について、親名義にせず子ども名義にすることも、「みなし贈与」に該当します。ただし、子どもが家を建てたり購入するために、親がお金を出してあげるなどという場合は、一定金額まで贈与税がかからないようになっています。

 

  お金の貸し借り 

 

 身内にお金を貸すことは、援助したい気持ちから普通に行われがちですが、利息を取らないまたは利息の利率があまりにも低い場合は、「みなし贈与」に該当することがあります。

 ただし、高額な借金ではない場合で、利息を取ってもかなり低額になるような場合は、非課税になるのが実務上の取り扱いになっているようです。

 

  債務免除 

 

 子どもに貸したお金を返すのを免除する行為も、「みなし贈与」に該当することがあります。

 たとえば、「1,000万円貸しているけれども、200万円返せばいい」とするような場合です。
 この場合は、800万円贈与したことと同じに見える、として贈与税がかかる可能性があります。

 

 6. まとめ 

 

今回は「みなし贈与」について解説をいたしましたが、直接物やお金を渡す贈与とは異なり、税金の対象となるという意識が低くなりがちなものです。

思わぬところで税務署から通知が来る可能性もありますので、ご注意ください。

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