忘れられがちな所得税 | 誠和不動産販売株式会社

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忘れられがちな所得税

忘れられがちな所得税
著:誠和不動産販売  2017年12月更新

所得税といえば「個人の所得」に課せられる税金です。
源泉徴収されるもの…そんなイメージがありますが、実は不動産の売却によって得られる所得にも同じように課せられます。
また、所得税には「源泉分離課税」と「申告分離課税」の二種類の制度があります。
前者は一般に「天引き」という言葉で知られており、1,000万円の所得にはなんと45%もの税率が課せられています。ちなみに天引きという制度は古くは18世紀のイギリスまで遡り、日本では太平洋戦争も間近に迫った1940年に導入されました。

さて、今回のテーマ「不動産売却利益への所得税課税」は、後者の申告分離課税に属し、譲渡所得と呼ばれています。
この譲渡所得は単純な収入で計算されるのでは無く、様々な控除や費用の差し引きが認められています。





○譲渡価格とは?

これは単純に、不動産の譲渡によって得た金額を指します。


○取得費とは?

こちらも単純に、不動産を購入した際にかかった金額を指します。
建物の場合はそこから減価償却費を差し引いたり、リフォームにかかった費用を足したりします。

木造住宅なら22年、鉄筋コンクリートなら47年といったように、法定耐用年数が定められており、年数の経過で少しずつ価値が目減りしていきます。この減価償却の算定には税務用の計算式が用いられ、購入にかかった費用に0.9を乗じた額に、構造に応じた係数と経過年数を乗じて算出します。耐用年数を超えた建物は価値がゼロになるわけではなく、必ず1割が計上されるのです。また、建物の取得費が分からない場合は、譲渡価格の5%を取得費とすることができます。実際の取得費が5%を下回った場合も同様です。


○譲渡費用とは?

不動産の売却には様々な経費がかかります。
例えば、不動産業者に支払う仲介手数料であったり、登記にかかる費用であったり、測量にかかる費用、建物を取り壊す場合はその解体費用など、それらを譲渡価格から差し引くことが認められています。


○特別控除とは?

不動産の売却には様々な控除が設けられています。
代表的なものとしては、居住用財産を譲渡した場合に適用される3,000万円の特別控除です。
他にも様々な控除がありますが、最終的に取得費や控除を差し引いて残った部分に課税されるのが不動産の売却にかかる所得税となります。

 


 譲渡所得の税率

譲渡所得の税率は不動産の所有期間で変化します。
不動産を譲渡した年の1月1日の時点で5年を超えるか超えないかによって、短期譲渡取得と長期譲渡取得に分けられています。

(1)短期譲渡所得
所有期間が5年に満たない不動産の売却益は短期譲渡所得と呼ばれ、税率は30%になっています。
この他に平成45年まで復興特別所得税が2.1%課税され、住民税の9%と合わせて(30×2.1)%+9%の39.63%が税率となります。

(2)長期譲渡所得
所有期間が5年を超える不動産の売却益は長期譲渡所得と呼ばれ、税率は15%となっています。
この他に平成45年まで復興特別所得税が2.1%課税され、住民税の5%と合わせて(15×2.1)%+5%の20.315%が税率となります。

さらに、所有期間が10年を超える不動産は特例措置があり、課税譲渡所得の「6,000万円以下の部分」は税率が10%となっています。(10%×2.1%+4%=14.21%)





不動産の保有期間によって税率はここまで違います。
ご売却をお考えの不動産を所有している期間が長ければ長いほど、税率は優遇措置は設けられているのです。

いかがでしたでしょうか。
「不動産を売る」といえば簡単に聞こえますが、いざ実際売るとなると耳慣れない言葉や見たことのない書類など、思わず敬遠してしまうような事柄が数多く現れます。
特に、税制関連の規定や措置は難解な単語や解りづらい言い回しも多く、ともすれば二度と見たくないと思われる方もいらっしゃるでしょう。
そういった方の立場に立ってアドバイスするのも我々の使命と考えております。
次回は、今回詳しくふれられなかった「様々な控除」についてご説明いたします。

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