相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 | 誠和不動産販売株式会社
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
著:藤原 正英 2025年7月更新
著:藤原 正英 2025年7月更新
相続で取得した不動産を売却した際、「相続税を払ったのに思っていたよりも譲渡所得税が高くて驚いた。」という声をよく耳にします。そんなときに検討したいのが、「取得費加算の特例」です。相続財産を相続後に売却することを検討されている場合には、ぜひ知っておいていただきたい制度ですので、今回はこの特例について、ポイントを簡潔にご紹介します。
特例の要件
相続や遺贈で取得した財産を、相続開始日(被相続人の死亡日)から3年10カ月以内に譲渡した場合、相続税の一部を取得費に加算できる制度です。これにより譲渡所得が圧縮され、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。
適用のイメージ
たとえば、被相続人が所有していた土地5,000万円(相続税評価額)金融資産3,000万円を相続し1年後に土地だけを8,000万円で売却。相続税を2,190万円払っていたとします。このとき、一定条件を満たせば、この相続税の一部(たとえば1,370万円)を「取得費」に加えることが可能となります。
『 譲渡所得 = 譲渡価格 ― ( 取得費 + 譲渡費用 ) 』
この「取得費」に相続税の一部が加わるため、課税対象の所得が減り、結果として税金も軽減される、というわけです。
特例適用のポイント
● 譲渡期限に注意!
相続開始から「3年10カ月以内」に譲渡しなければ、この特例は使えません。
● 相続税を実際に収めている必要あり
相続税がゼロだった場合には、この特例は使えません。
● 加算できる相続税額には上限がある
譲渡した資産に対応する相続税額が対象です。すべての相続税額が加算されるわけではないため計算には注意が必要です。例えば上記の例では土地の他に金融資産3,000万円を相続していますが売却していませんので加算されません。
● 確定申告が必要
特例を使う場合は、申告書に所定の計算書と証明書類を添付する必要があります。
まとめ
取得費加算を利用すると、譲渡税の負担を軽減する事ができますが、限られた期限内に売却を完了させなければいけない等のデメリットもあります。
場合によっては相続開始前に不動産を売却した方が良いケースもあるため、売却時期に関してはお客様それぞれのご事情により異なります。判断の難しい場合はお気軽にご相談ください。

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