アパート建築が相続税対策になる理由 | 誠和不動産販売株式会社
アパート建築が相続税対策になる理由
著:金成 明洋 2025年8月更新
著:金成 明洋 2025年8月更新
相続税対策としてアパート建築が良いという話を聞いた事がある方も多いと思います。ではなぜ相続税対策になるのかをしっかり答えられる方は意外と少ないものです。 そこで今回は、その「なぜ」を解消するために掘り下げて解説していきます。
1. 相続税の課税割合
平成 28 年の相続税改正により、相続税が課税される人の割合が急増しています。

杉並区では 4 人に 1 人以上の割合で相続税が課税されています。 もう相続税は一部の資産家だけの税金ではありません。
しっかりと対策をしておかなければ払わなくても良かった税金を支払わなくてはいけなくなってしまいます。
2. アパート建築が相続税対策となる理由
土地の相続税評価が減少
【 貸家建付地の評価減 】
貸している土地は、第三者にその不動産を売却する場合、購入者は賃借人の存在により、その土地を自由に使うことができません。そのため、その土地の評価は自己利用の土地と比べて一定程度評価を下げる事ができます。どの程度評価を減らすことができるかについては、その土地が住宅地か商業地かなどにより変わりますが、杉並区の一般的な住宅地の場合18%~21%土地の評価を下げる事ができます。
【 小規模宅地等の特例 】
アパートが建っている土地は、200㎡までを本来の評価額から50%減額することができます。かなり大きな減額ができる制度となりますので、ぜひ活用した特例といえます。
建物の相続税評価が減少
【 建物の相続税評価方法 】
建物の相続税は固定資産税評価額で評価することになります。 一般的に固定資産税評価額は時価の60%といわれているため、仮に5,000万円でアパートを建築した場合の相続税評価は3,000万円(2,000万円減)となります。
【 借家権割合による減額 】
アパートを第三者に売却する場合、賃借人が住んでいるため自己利用をする事ができません。そのため建物の評価を30%減額することができます。
3. 借入金は全額債務控除
アパート建築資金を銀行借入で調達するケースでは、その借入金全額が債務控除を適用できます。
債務控除とは相続財産から借入金額を控除する仕組みのことをいいます。
4. 節税効果のシミュレーション
設例1 相続税評価1億円の土地と現金2,000万円を配偶者と子1人が相続した場合
【 相続税評価額 】 1億円(土地) + 2,000万円(現金) = 1億2,000万円
【 課税遺産総額 】 1億2,000万円 - 4,200万円(基礎控除) = 7,800万円
【 相続税 】
配偶者の相続税
7,800万円(課税遺産総額)÷ 2(法定相続分) × 20%(税率) - 200万円(基礎控除) = 580万円(相続税)
子の相続税
7,800 万円(課税遺産総額) ÷ 2(法定相続分) × 20%(税率) - 200万円(基礎控除) = 580万円(相続税)
設例2 設例1のケースで土地に、建築費5,000万円(全額を銀行借入)のアパートを建築した場合
【 土地の相続税評価額 】 1億円(土地) × 0.82(貸家建付地) × 0.5(小規模宅地等の特例) = 4,100万円
【 建物の相続税評価額 】 5,000万円(建築費) × 0.6(固定資産税評価額) × 0.7(借家権割合)= 2,100万円
【 債務控除 】 -5,000万円(銀行借入)
【 現金 】 2,000万円
【 課税遺産総額 】
4,100万円(土地) + 2,100万円(建物) -5,000万円(債務控除) + 2,000万円(現金) - 4,200万円(基礎控除)
= -1,000 万円
【 相続税 】0円
5. まとめ
アパート建築が相続税対策として非常に有効である事はご理解いただけたと思います。
この相続税対策は、古くなったアパートの建替えの場合でも節税効果はあります。なお、実務上お客様から「建築したいけど資金が無い」という話をよく聞きますが、基本的にご自身の土地にアパートを建築する場合は建築費全額の融資が可能です。アパートローンという商品は、アパート事業の収支が審査対象となるため、事業としてしっかり収支が回っていれば、お客様の資産背景や年齢はあまり審査対象となりません。
アパート事業は相続税対策としては有効ではありますが、良い事ばかりではなく以下の点には注意が必要です。
① アパート事業は長期的な運用となるため、収入が見込める間取り、設備を導入する必要があります。
② 建築費の高騰が続いているため施工業者の選定は慎重に検討する必要があります。
③ アパートを建築すると遺産分割が難しくなるため、相続人が複数人の場合は、事前に遺産の分割方法を
検討しておく必要があります。
④ 月日の経過と共に借入金(債務控除額)が減少し、家賃収入により現金が増えていきます。
資産の状況により再度節税対策を検討する必要がでてくる可能性があります。
以上、今回はアパート建築による相続税節税について解説しました。
地元阿佐ヶ谷にお住いのお客様でご興味をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

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